米国では 政権交代 の度に政策の中枢に位置する政治任用の高級官僚(ポリティカルアポインティー)がガラリと入れ替わる。その受け皿となるのが、シンクタンクや議員スタッフである。
ワシントンには幾つかの有力シンクタンクが存在するが、その全てが民主党系か共和党系に色分けされている。政権を追い出された側は、こうしたシンクタンクで働いて捲土重来を期す。
政権交代 の引き継ぎにかかる手続きや、民主・共和両党で同じような能力の人材を双方共に確保する費用などを考えると、制度維持にかかる社会的コストは日本よりも米国の方が高いと思われる。日本の高級 官僚制度 は、国全体のコストを考えると相対的に安く済むシステムであろう。
今回の選挙で議論された マニフェスト (政権公約)を見ても、政党が抱えるシンクタンクの政策立案能力が既存の高級官僚に遠く及ばないことが分かる。
政策担当秘書は米議会のような自らチームを抱える権限や財源を与えられず、目の前の「ドブ板選挙」に追われている。官僚に代わって、政策実現のための根回しや国会での想定問答作成などを十分行っているようにも見えない。
こうした新制度がうまく機能しない理由の1つは、逆説的になるが、 政権交代 が頻繁に起こらなかったためかもしれない。しかし筆者はそれよりも、日本国民がこうした社会的コストの高い制度ではなく、本音では効率的な 官僚制度 を望んでいるからだと考えている。